「…萌?さっき麻友に出会って話聞いたから一緒にご飯行こう?」
「芹奈ちゃん…」
芹奈ちゃんの顔が何故か見れない。
なんでだろう…
晴馬君が芹奈ちゃんのお姉さんを好きだったからだろうか。
「萌。どうしたの?」
「え、ううん…」
「今日は食堂にする?それとも外で食べる?」
「……」
「萌、聞いてる?」
「あ、うん。食堂でいいよ」
ぎこちない喋りが芹奈ちゃんを困らせた。
ため息が混じったような笑いで眉を下げる芹奈ちゃんにあたしは聞きたい事が沢山あった。
土曜の食堂はさすがに人気は少ない。
「萌。それだけでいいの?」
「うん…」
食堂なのにあたしの目の前にはサンドイッチが置かれている。
今日は食べる気がしない。
芹奈ちゃんの前にはホカホカしたオムライスが置かれていて、あたしはその湯気をジッと見つめた。
「さぁ食べよっか。戴きます」
手を合わせて芹奈ちゃんがスプーンを手に取る。
芹奈ちゃんは何でそんなに笑ってるの?
今日、お姉さんの命日だよね?
もしかしてあたしが落ち込んでいるから無理に笑ってる?
無理に気を使ってる?
ほんとにほんとに全くいつもの芹奈ちゃんだからこそ、どうしていいか分かんないよ。
芹奈ちゃん…
今日、晴馬君ね。芹奈ちゃんのお姉さんの為に大会に行ってんだよ?
知ってる?



