「萌ちん、アイツに惚れてんの?」

「はぁ?そんなわけないでしょ!!」

「物欲しそうな目で見てたじゃねーかよ」

「違う!!あたしは芹奈ちゃん見てたの!ねぇ、麻友ちゃん?」


そう言ってあたしは慌てて麻友ちゃんに振り返る。

実際は芹奈ちゃんじゃなく、透哉君の髪の毛を見てたんだけど…


「はぁ!?そんなの知らないわよ」


案の定、麻友ちゃんはどうでもいい感じでスマホに夢中だった。


「あ、ところで晴馬君。苺ミルクなんて飲むんだ。可愛いね」


この話を避けようと、あたしは隣に居る晴馬くんに視線を向ける。

晴馬君は咥えてたストローをパッと離し、


「俺は萌のほうが可愛いと思う」


なんてまた馬鹿扱いする。


「な、なんで晴馬君はいつもそうあたしの事、もてあそぶの?」

「もてあそぶ?俺、本気で言ってんだけど。俺、萌の事スキだよ」

「ねぇ麻友ちゃん助けて!ねぇ、麻友ちゃん…」


スマホに真剣になる麻友ちゃんの腕を掴んで激しく揺すった。

だから次第に麻友ちゃんの表情が険しくなってて。


「ちょー萌!!やめてよ!!LINE送ろうにも送れないでしょ!!」


激しい麻友ちゃんのお言葉が飛び交う。

だから途轍もなく悲しくなった。