「あのね、晴馬君がね――…」

「萌ちゃん、おはよ」


芹奈ちゃんに言おうって思ったのに、その言葉は透哉君に遮られてしまった。


「あ、おはよう」


だからタイミングってもんを逃してしまって。

それどころが晴馬君の視線があたしに向かっているのが分かる。

だからチラッとだけ視線を向けると、バッチリ視線があって思わずスッと避けてしまった。


「え、2人なんかあった?」


透哉君が苦笑い気味で言葉を吐き出す。


「さぁ、なんだろうね」


困った芹奈ちゃんもぎこちなく透哉君に視線を向ける。

晴馬君は何もなかったような雰囲気を出しているけど、あたしはそんな事、出来ない。

昨日、言われた晴馬君からの言葉がまだ引きずってて、今にでもなんであんな事を言ったのか聞きたい。


「ねぇ、萌どうしたの?晴馬になんかされた?」

「してねーよ、」


芹奈ちゃんの言葉にすぐさま晴馬くんの突き刺さった声が返って来る。

だから余計に頬を膨らませてしまった。


「芹奈ちゃん、行こう」


グッと芹奈ちゃんの腕を掴んで早足で進める。


「え、萌?」

「お前、萌ちゃんに何かしたのかよ。相当怒ってんぞ」


足を進めて行く背後から透哉君の声が耳に入り込む。

その後の晴馬君の声なんて聞こえなかったけど、今は晴馬君と顔を合わせたくない。


それに…

あたしが初めて晴馬君にあんなに怒鳴ってしまったから会いずらいってのもある。


…晴馬君って何考えてんだろうって、時々思う。