「萌、おはよう」
次の日、正門近くで出くわした芹奈ちゃんがあたしを覗き込んで声を掛けてくれた。
「あ、芹奈ちゃん、おはよう。あれ?透哉君は?」
「いるよ。そこで晴馬と出会ったから一緒に居る」
「えっ、晴馬くんも?」
思わずボソリと呟きスッと振り返る。
数メートル離れてる所に透哉君と晴馬君が居る。
昨日の今日だからまだ晴馬君に言われた事が頭の中を過っていく。
思い出せば出すほど、ムカつく。
「どーしたの、萌?」
「別に」
「晴馬となんかあった?」
「別に」
「そっか。なんかあったんだ」
「何もないよ!!」
「ど、どうしたのよ、萌」
思わず声を上げてしまった芹奈ちゃんが困った顔をする。
「ご、ごめん。芹奈ちゃん…」
「ううん。それよか昨日、電話なんだったの?なんかあったんでしょ?」
「うん。テストの結果が悪くて教えてほしかったんだ」
「え、そうだったの?もっと早く言ってくれれば良かったのに」
「うん。でもね晴馬君が教えてくれた」
「そうなんだ。晴馬、萌には優しいからね」
「優しくなんかないよ…」
「え、なに?」
物凄く小さな声で言った所為か、芹奈ちゃんは聞き取れなかったみたいで、あたしを見下ろす。