「どうしたの?」
「お前、明日行くな」
「え、なんで?」
「行くなっつったら行くな。断れ」
「えー、なんで?もう約束しちゃったし」
「断れよ。俺と映画行こうぜ」
「はぁ?なんでそんな勝手な事言うの?」
「南条なんかロクな奴いねーわ」
「って言うか、晴馬君、佐々木君の事知らないじゃん」
「知んねぇけど南条って聞いただけでもロクな奴じゃない」
「そんなことないよ。だって佐々木君、すっごく優しんだよ」
「お前、そいつの内側見た事あんのか?」
「あるよ。ずっと中学一緒だったし!凄く優しくてみんなの憧れだったもん。晴馬君こそ、知らないくせに佐々木君の悪口言わないでよ!!もう行くって決めたの!!だから行くもん!!晴馬君、関係ないんだから口突っ込まないでよ!!」
「あー、そうかよ」
「じゃ、帰るから!!」
フイっと顔を背けて更に足を進めた。
ほんとに、なんなのよ。
あたしが誰と会おうが晴馬君に関係ない。
南条って聞いただけでもロクな奴いないとか、晴馬君だってそんな事知らないじゃん。
たとえそうだとしても佐々木君はそんな奴なんかじゃない。
むしろ晴馬君より素敵だ。
晴馬君みたいに女を虜にしてないんだから!
もてあそんでないんだから!