「あ、そだ。お前明日空いてんだろ?」
「なんで?」
「ほら、お前あの映画観たいっつってただろ?」
「あ、そだ。今日ね、芹奈ちゃん見に行ってるんだよ」
「へー…透哉と?」
「うん」
「じゃあ俺、明日空いてっからさ――…」
「あー!!だめだ明日」
ふと思い出した予定に声を上げる。
明日は大切な大切な予定があったんだ。
映画も見たいけど、絶対に佐々木君と会いたい。
むしろ会わなきゃいけない。
「は?なんか予定あんの?」
「うん」
「お前に予定なんかねぇだろ。いつもお前だけ暇人なんだからよ」
「あるよ!あるもん!」
「何のだよ、」
「んー…とね、明日ね、ちょっと会うの」
思い出すと頬が緩む。
なのにあたしとは対照的に晴馬君が眉を顰めた。
「誰に?」
「えっと佐々木君に」
「あぁん?佐々木くん?誰だよ、そいつ」
「あのね。中学の時ずっと一緒だったんだけど凄く優しくて、あたしの憧れだったの」
「へー…お前にそんな奴がいたとはな」
「うん。でね、あたしは高校麻友ちゃんに着いて行ったから佐々木君とは別になったの」
「……」
「それからなかなか会う機会なかったんだけどね、佐々木君が会わないって言ってくれて」
「……」
「あたしの事まだ覚えてたんだーとか思ってね、」
「つか萌。どーでもいいわ、そんな話」
「あ、うん。だからね晴馬君また今度にしもらってもいい?」
「…で、どこ高よ、そいつ」
「えっとねー…確か南条だよ」
「はぁ!?南条!?」
声を上げた晴馬君の声が自棄に大きかった。
だから晴馬君に視線を送ると、晴馬君はここぞとばかりに眉間に皺を寄せ――…