「麻友ちゃん、おはよ」


朝の正門でバッタリ出会った麻友ちゃんに、あたしは笑みを浮かべた。


「あ、萌おはよ」

「芹奈ちゃんは?」

「透哉と一緒じゃないのー…って、噂をしたらほら来たわ」


麻友ちゃんが視線を向ける先には芹奈ちゃんと透哉くんが居る。

今ではすっかり芹奈ちゃんも元気だし、幸せそうだな。

羨ましい。


「萌、おはよ」

「萌ちゃん、おはよ」

「うん、おはよう」


芹奈ちゃんと透哉君がすれ違いざまに挨拶をしてくれた。

そんな芹奈ちゃんがニッコリと微笑んでくれる。

その笑顔を見ただけで、なんだか元気になる。


それにしても透哉君って端正な顔だよな。

あたしより年下だとは思えないルックスだし。

しかも、いつみても髪形と色が違ってる。


この前、金に近いほどの色だったのに何故か今は黒にところどころに茶色のメッシュ。

その前は銀色っぽいアッシュ。

にしてもどれも似合ってるって、ある意味凄い。


「おい、お前。人の男ばっか見てんなよ、」

「――いたっ、」


バチンと後頭部に刺激を受ける。

頬を膨らまして隣に視線を向けると晴馬君が何気ない顔で苺ミルクの紙パックのストローを咥えてた。