晴馬君と付き合ってもうすぐ2カ月になろうとする。

年が明け、もうすぐ卒業。


だけどあたしは心を痛めていた。


「ねぇ晴馬君、いまから遊びに行こうよ」


晴馬君の部屋で勉強をする晴馬君の隣であたしは退屈そうに眺める。


「は?俺、んな暇ねーっつーの」

「さっきから勉強ばっかじゃん」

「だから入試もうすぐだっての。そうじゃなくても俺、去年はお前の事が好きすぎていっぱいいっぱいだったから学年1位とれなかったしよ」

「好きすぎて…」

「だから照れんなって」

「晴馬君って勉強が趣味なの?」

「んなわけねーだろ」

「……」


つまんない。

もちろんそんな言葉なんか言えないけど、つまんない。

晴馬君の実家は途轍もなく豪華なお屋敷だった。

お父さんが医者だから、その後を引き継ぐことに決めたらしい。


あたしにはもう未知の世界で、そもそも医者って神様の様な存在である。

今まで散々適当な晴馬君を見てきた所為か、想像すら思い浮かばない。


「おい、萌すねんなよ」


ツンとおでこを突かれ、あたしは額に手を当てる。


「すねてないし」

「すねてんだろ。試験受かったら物凄く可愛がってやるから」

「受かったらでしょ?」

「俺を誰だと思ってんの?萌みたいに馬鹿じゃねーから受かるっての」

「ほらー、また酷い事言う。あたしだって試験受かったんだから」

「だからそん時、プレゼントあげただろ」


そんな事を言われ、思わず顔が赤くなった。