「…萌にあんな事あったから離したくねーの」

「…うん」

「透哉にさ連絡もらった時、アイツに俺が先に一人で行くからって言われて断ったの俺で、だから行くの遅くなった。ごめんな」

「……」

「萌の居る所はどうしても俺が行って助けたかったから。透哉に行ってもらってたら連れ込まれる前に萌を助けられたんだけど…」

「……」

「だから、ごめん。萌の所為じゃなくて俺の所為。ごめん萌、やっぱあの時、透哉に先に行ってもらえばよかった。だったら萌をあんな目に遭わせられなかったのに」

「……」

「ごめん」


晴馬君はどうしてそんなに謝るんだろう。

晴馬君はどうして自分の所為にしてるんだろう。

悪いのはあたしなのに。

晴馬くんの言う事も、簡単にホイホイ着いて行ったのはあたしで、全部あたしの所為なのに、どうして謝るんだろう。


「晴馬君?あたしね、あの時、晴馬君が来てくれて嬉しかったよ。すごく嬉しかった。だから半分にしよう」

「半分?何が?」

「自分の責めるの半分にしよう。あたしも悪いから。晴馬君だけの所為じゃないよ。だからお互いに半分っこ」

「お前、ほんと馬鹿だなぁ…」


クスクス笑う晴馬君のその言葉で、何故か笑みが漏れる。

久々に言われたその言葉がちょっと嬉しくなった。


「その言い方ほんっとムカつくけど今日だけは許す」


なんて言ってみて晴馬君の腕ごとグッと抱きしめる。

いつもと感じる温度が違う。

今まで何も思わなかったけど、好きと感じるとこうも温度が違うんだと実感させられる。


…やっぱ晴馬君の事が好きだ。