「3分もあれば。」

部長は、驚いたように目を見開いた。

「先週、2時間、かかってなかったか?」

「はい。
こんな事もあるかな…と思って、データを
手入力しないで、全部、計算式を入れて
作りましたから、立ち上げれば、リンクして
全部数値が入るようにしてあります。
後は確認して印刷するだけですから、
今週からは時間はかかりませんよ。」

部長は、目を細めて、ふっと微笑んだ。

「園部に頼んで良かった。
じゃ、後で他の資料と一緒に提出してくれ。」

「はい。」

私は、一礼して、席に戻った。

真由が、椅子のキャスターを滑らせて寄ってきた。

「秦野部長に褒められるなんて、すごい
じゃん!」

前の席の服部さんも、

「うんうん。
秦野部長が、誰かを褒めてるところなんて、
初めて見た。」

と声を潜めて言った。