「ふふふ
爽、鈍いから、気づいてなかったでしょ?
爽から誘ったら、二つ返事でOKするよ。」

………

知らなかった…

「真由の思い過ごしじゃないの?」

「あんな分かりやすい態度、爽以外、みんな
気づいてるよ。」

真由が笑った。

そこへ冷たい風が吹き抜ける。

「沖田、園部、喋ってる暇があったら、手を
動かせ!」

部長の低い声は、場の空気を凍らせる。

「はい。
すみませんでした。」

私が謝ると、真由も無言で頭を下げる。

私たちは、再びカタカタとキーボードを打ち始めた。