爽!?

名前!?
呼び捨て!?

もう私の心の中は、わけが分からなくなっていた。

「爽って…」

それだけを絞り出すように言うと、

「名前、爽だろ?
間違ってるか?」

と聞かれ、私はふるふると首を横に振った。

「爽。
何、飲む?」

改めて聞かれて、私は、

「じゃあ、モスコミュールを…」

と答えた。

部長は、手を挙げて、2人分の飲み物をオーダーしてくれる。

「それにしても、男と飲みに来て、自分から
モスコミュールをオーダーする女に初めて
会った。」

部長は、相変わらず、私の髪で遊んでいる。