「どこに行くんですか?」
送ってやると言った部長は、私の家を知らない。
「飲み直す。」
「え?」
戸惑う私を連れて、部長は駅前の綺麗な雑居ビルに入った。
エレベーターに乗り、最上階のボタンを押す。
「待ってください!
私、行くなんて、言ってませんよ!」
私が抗議すると、
「俺と飲むのは嫌か?」
部長は、掴んでいた腕を離し、私の髪を指に絡めながら、聞いた。
部長の綺麗な顔に見つめられると、どうしていいか、分からなくなる。
「…イヤ…じゃ、ありませんけど…」
私がボソボソと答えると、部長は緩やかに微笑んで言った。
「じゃあ、行こう。」



