「うん。
タクシーで送ってくれたよ。」

途中、バーに寄った事は、省略して話した。

「体調悪いなら、言ってくれれば、俺が
送ったのに。」

「ありがと。
でも、大丈夫だったから。
部長、ああいう席、苦手そうだから、私を
ダシにして、抜け出したかったんじゃない?」

「ああ、そうかも。」

と服部さんは笑った。

「それにしても、爽ちゃんはすごいよね。」

「ん? 何が?」

「爽ちゃん見てると、秦野部長、怖くないの
かもって気がしてくるもん。」

「ふふっ
みんな怖がりすぎだって。
部長、仕事に真面目で厳しいだけで、全然
怖くないよ。」

「そういうとこが、爽ちゃんのいいとこ
だよね。」

「そんなに褒めても、何にも出ないよ。」

私は照れ臭くて、笑ってごまかした。