「真帆⁉︎」


由加里の顔が目の前にあって、とても心配そうに覗き込んでいた。


「__由加里?」


「もう終わったよ」


「えっ?」


辺りを見回すと、スタジオ内には誰も居なかった。


しかも、暑くない。


「じゃ、ダメだったんだ?」


肩を落とした私に、由加里が首を降って微笑んだ。


「その逆。私が交代して、すぐに終わった。真帆が長いこと頑張ってくれたから」


「交代、してくれたんだ?」


「なに言ってんの⁉︎当たり前じゃない‼︎」


「やっぱり__」


あいつの言ったことはウソだったんだ‼︎


私を騙してギブアップさせるための、汚いうそ。


「広間で休めるみたい。行こう」


由加里に肩を貸してもらい、広間に行くと、合格者がそれぞれのペアでテーブルについていた。


「ちょっと‼︎いい加減なウソつかないでよ‼︎」


すぐに、篤志に食ってかかる。


その横には小塚さんが居ようが、構うものか。


「なんのことだ?」


「なにって、由加里が私を見捨てたようなこと__」


「記憶にないな」


悪びれることもなくシラを切る篤志を1発くらい殴り飛ばしてやりたかったが、そんな怒りが吹き飛んだ。


テーブルに、次から次へと料理が運ばれたからだ。