臭い。


むわっと、思わずむせ返るような匂いが鼻をつく。


なにも食べていない胃が、きりりと捩れて痛む。


これを、これを飲むなんて、飲み干すなんてことは私にはできない。


第1、これを飲んだところで、痩せるわけがない。


あいつは最初っから、私をからかっただけだ。


真に受けて尿を飲んだ私を、腹を抱えて大笑いしたいだけなんだ。


危ない危ない。


人間以下に成り下がるところだった。


まだ生温かい尿を持ち、トイレに向かう。


早く捨てないと、部屋に匂いが染みついて本当に吐いてしまう。


手にした尿を、しばらく見つめる。


あいつはこれを【黄金の水】だと言った。


確かに嫌味で傲慢で腹の立つヤツだけれど、こんな子供じみた嘘を言うだろうか?


私はこの3日間、できることは全部やった。


だから、ダメでも悔いはない。


けれど__もし本当だったら?


あいつの言うように、本当に黄金の水なのだとしたら?


僅かに泡立つそれに、私は顔を近づける。


「うっ‼︎」


とてもじゃないが、匂いに耐えられない。


これを飲むなんて。


そんなこと、私には__。