【努力もせずに太りました】


朝の6時。


「おはよう、真帆。よく眠れた?」


「うーん。あんまり」


心配させたくはなかったが、由加里には正直に答えた。


お腹が空いて、寝るどころじゃない。


浅い眠りの中、見る夢といえば食べ物ばかり。


天国に居たかと思えば、お腹を突き刺すような痛みに襲われて、現実へとかえる。この繰り返しだった。


恐らく1日で【2kg】も痩せてしまったのは、私くらいなのだろう。


それほど失格者が出ることもなく、順番が回ってくる。


「危ない、1.3kgだった」


小塚さんが、ホッとしている。


その横で余裕の沢渡篤志は、さも当然とばかりに私を見た。


「じゃ、先に行くね」


由加里が右足を乗せる。


よくよく考えてみれば、これでもうお別れとなる可能性だってあるんだ。


せっかくこんなに気が合ったので、1日でも多く残りたい。それに、由加里の存在がなければ私はすぐに諦めてしまうだろう。


「1kgだ」


辛うじて2日目をクリアした由加里に続き、私も体重計と向かい合う。


2日間で4kg以上なんて、まともな数字じゃない。


あり得ないし、体にも悪いんじゃないかと思う。


でも__クリアしたい。


私は体重計に乗った。