【小塚俊一】vs【夢双山】


「真帆ちゃん。僕は必ず勝つから」


次の対戦部屋に向かう途中で、小塚さんが私に言った。


私の目を真っ直ぐに見ながら。


「小塚さん__」


熊のように愛嬌のある顔が、霞んで見えなくなっていく。


いつもは笑顔の熊さんが、頬を引き締めて私に伝えているんだ。


僕は勝つから。


生きて戻ってくるから、と。


だから私は信じることにした。


信じて、送り出すことに。


新たな対戦部屋は、2つに分かれていた。


四角い部屋が2つ。


その中央に、深く突き刺さるのは__スコップ?


それぞれの箱部屋に2本のスコップのみ。


【それでは、小塚俊一さんvs夢双山さんの対決を行います】


夢双山(むそうやま)?


とんでもなく大きい体そのまま、きっと相撲の四股名に違いない。あの小塚さんでさえ、子供に見えるくらいだ。


2人が別々に部屋に入っていく。


【お2人には、土掘りダイエットで対戦して頂きます。今からスコップで土を掘り起こして頂き、そのカロリー消費を競ってもらいます。では始めて下さい】


その瞬間、2人は猛然とスコップをひっ掴み、土にスコップをぶっ刺した。


これは完全に力比べ対決だ。