「真緒さーん!」



お弁当のトマトを口に入れようとしたそのとき。



教室の出入り口のほうからわたしの名を呼ぶ声が聞こえてきた。



振りかえると、わたしを呼んだのは智也くんだった。



「これ、前お借りしてた3000円です!」



智也くんはこのあいだ貸していた3000円を、丁寧に封筒に入れてもってきてくれた。



彼はネットで買い物したけど、振り込みの締め切りがその日の22時までで、家に帰っていると間に合わないということで、

ちょうどそのときバイトでその場にいたわたしに頼んできたのだ。



「明日バイト一緒じゃなかった?そのときでよかったのに!」



わたしは彼にかけよりそう言う。