ついに準々決勝となった。ここまで来ると闘技場の観客も最初の頃と比べてかなり増えた。

「さて、今回の相手は・・・と?」

遥の目の先には道着姿の若い男・・・とは言っても遥より年上だが。それより、気になるのが武器を持っていないのだ。

この刀を持つ遥に対して無手で戦おうとするつもりなのだ。

「拳法家か。だが、拳法家は拳法家同士でやるべきだと私は思う。刃物に無手は危険すぎるだろうに。」

しかし、道着姿の若者は遥を睨み付ける。

「そうやって無手の俺をバカにする奴から痛い目に遇うんだよ。だいたいお前も刀一本で魔法使いに勝っていたじゃないか。」

「ああ、あの魔法使いとの戦いか。まあ、近距離専門の刀使いは相手の懐に入ればどうとでもなるからな。」

「へへっ、そういうことだ。俺は無手だからお前に刀を使えないくらい接近してやるよ。女だからといって俺は手加減しねぇ!」

少しガキっぽくも感じるがコイツの雰囲気から強者の匂いがする。無手で準々決勝までのあがって来れたのもあながちマグレでは無さそうだな。

「それでは勝負始めぇ!」

試合開始のゴングが鳴った。