遥が過去に殺した者1000人は雑魚から強敵まで沢山いたはずだが、まるで勝負の熱を感じない死人である為、全く遥の相手にならずバッタバッタとやられてゆく。

「死人が命あるものに勝てる道理は無い。」

まさに電光石火の早技であった。1000人もの敵を瞬殺である。いくら弱くても1000人もの数がいたら流石に体力的にキツいと思うが遥はアッサリと倒した。

「そ、そんなっ・・・!?いくら強くてもあの数の敵を倒すなんて・・・」

常に余裕の顔をしていたジュリの顔に焦りが見えた。しかし、ジュリにはもう太刀打ちが出来ない。1000人もの死人を実体化するのに力を使い果たした為、呪術以外で戦いを挑まなければ無いのだが、ジュリには体術は出来ない。

「残念だけど私の負けだわ・・・。私には呪術以外で戦うことは出来ないから・・・。」

ジュリは降参を宣言して、ここで勝負に決着が着いた。

観客も意外にもあっさりと終わった事に少し驚いている様子が窺える。しかし、それよりも遥の電光石火の1000人斬りに騒然となっていた。

「ジュリ、お前の呪術は凄かった。でも勝負事の本質は魂に熱があるかどうかだ。魂がこもっていない勝負は絶対に勝てない。肝に命じておけ。」

そんな遥のアドバイスに少し驚くジュリ。その理由はまるで剣士というより勝負師みたいだからだ。

「何だか勝負師みたいなアドバイスね。遥ちゃんはギャンブルとかするの?」

「実家のお祖父ちゃんが大好きだったから私も興味はあるぞ。」

(なるほど、お祖父ちゃんがギャンブル好きだから遥ちゃんも勝負師の様な考え方が出来るのね。)

ジュリは遥と握手をして闘技場を後にした。