「それでは、勝負開始ィ!」

審判がゴングを鳴らし、ついに呪術師との戦いになる。正直呪術師なんて呪いを使う奴にはロクな奴がいないからさっさと倒してしまおう。観客に変な呪いをかけたりしたら困るし、本当呪術師はいない方が良い。

しかし、早く倒そうと思うのだ・・・が体が重い。戦いが始まる前までは普通に動けていたのに急に体が重くなり、動くのがしんどくなった。

「ぐっ・・・!なんだっ・・・これはっ!もしかして呪術か?」

ジュリはクスクスと笑いながら呪術書をめくる。

「遥ちゃん、あなたはかなりの人を殺しているわね。それは100人とかの単位じゃないわ。1000人ぐらい殺しているわね。」

一人旅をして色んな国を渡り歩いた遥は確かに治安の悪い国では殺しもした。時には賊のアジトを壊滅にして、賊を皆殺しにしたこともある。

「だから何だ?言っておくが悪党だけしか殺していないぞ。」

「ええ、遥ちゃんが殺した人はみんな生粋の悪人。それも更生の可能性が全く無い悪人ばかりだわ。でもね、悪人でも殺人は殺人なの。そして、あなたには殺した1000人分の呪いが体に纏っているわ。だがら私はその呪いを少し利用させてもらうだけなの。」

なるほど・・・ジュリは私に染み付いている呪いを利用して体を重くさせたのだな。しかし、私は神社の生まれで生まれつき霊や呪いの類いには強い。

遥は深呼吸をして目を閉じてゆっくりと歩きだして、ジュリの方へ向かう。

「あら?遥ちゃんはもしかして呪いに耐性があるのかしら?そうじゃ無きゃ私の呪いを打ち破ることは出来ないはずなのだけど。」

相変わらず余裕の表情のジュリだが、その余裕ぶった顔がそろそろ変わるのでは無いだろうか?

「ジュリ、私は神社の生まれの巫女だ。故に呪いや霊の類いは全く効かない!覚悟しろ!」