そして再び試合の時がやって来た。

遥が闘技場に姿を現すと場内から歓声が聞こえる。

「遥ちゃん頑張ってー」とか何とか色々言われるが、この感じは全然悪くない。むしろ周りから期待されている感じがしてヤル気が出る。

そして、呪術師のジュリも場内に現れた。すると場内が更に沸き立つ。

「ジュリ様、頑張れー!」だの「ジュリたん結婚してー」だの「小娘をぶっ倒せー!」だのと言われている。何か、変なファンまで出来てる様だ。

「ウフフ・・・いよいよ勝負ね。遥ちゃんは本気で私に勝てるのかしら?呪術使いのこの私に。」

余裕の表情で薄ら笑いを浮かべるジュリは少し怖く感じてしまう。それと同時にファンが出来た理由も何となく察した。

それは美人であると同時に人を引き寄せるオーラがこの女から感じる。そして、そのオーラは呪いさえも引き寄せるのだ。

「今、改めて対面して分かったけどジュリ・・・お前はかなり強いな。お前の周りだけ空気が違う。」

「あら?分かる〜?やっぱり強い人って周りの空気が違うよね。少し嬉しく感じちゃうなぁ。」

ジュリは己が纏っている空気が違うと思って喜んでいる様だが、遥が言いたいのはそういう事では無く、様々な呪いを引き寄せているから呪いによってジュリの空気が違うと言いたいのだ。

確かにジュリからは強者の匂いがするが、それはあくまでも呪術師・・・呪いを扱う者としてだ。決してジュリ本人が強いという訳ではない。つまり、ジュリは呪術が無いと普通の人と変わらないのだ。それだけ、呪術頼みの呪術師なのである。

「ジュリ・・・お前は体術は出来るか?」

「え?体術なんて出来ないわ〜。私ってば呪い頼みで戦うタイプだし。でも夜の体術なら得意よ?」

遥はこの時点で確信した。夜の体術とやらが何なのかよく分からないけど、ジュリは間違いなく正規の訓練を受けた呪術師では無く、独自で腕を磨いた呪術師だ。正規の訓練を受けた者なら体術は最低限やらされる。