さて、次は3回戦。控え室の外にあるベンチで周りを見渡し続けるとさすがの遥もここの試験を受けにきた人の傾向が分かってきた。

まずは安定した職を求めている人。サミイ国は人口が多く、沢山の産業が盛んだが、それと同時に貧富の差が激しいのだ。国王がサトミ王女に変わって徐々に政策を取り入れているようだが、まだ後10年は掛かるという。

そんなサミイ国は就職難で安定した仕事がなかなか見つからない。貧しい者は日雇いの仕事で何とか食い繋いでいけている感じである。

その為、王女の用心棒となればしばらくは安定して高給が得れるから試験にとりあえず受けている人がいる。

その次に遥みたいにサミイ国外の生まれで、強き者と戦うのを求めている者。つまり腕試しという事である。

大きく分けてこの2つである。後は、王女の側で頑張りたいとか、王女を守りたいだのという考えの者である。

そして、やはりベンチに座って見てみると職を求めて試験を受けた者には絶望に満ちた顔をしている者がいる。なんというか・・・自殺とかしなければ良いのだが。

すると、となりにお姉さんが座ってきた。

「こうして絶望している人を眺めていると実に愉快だわ。人の醜い感情、それこそが私のお腹を満たしてくれる物。」

となり座ってきた小麦色の肌をしたお姉さんは少し気味が悪い事を言う。

そのお姉さんは見た目は20代後半か?服装は露出が高く、おヘソが丸見えだ。何というか占い師みたいな格好である。

「随分と趣味の悪い事を言うのだな。呪術師とは人の負の感情が好物というのは本当なのだな。」

お姉さんは少し驚く。見た目からして占い師と言われるのは分かるが、呪術師だなんてなかなか言われたことがない。

「あら?なんで分かったのかしら?私が呪術師だなんて。」

「分かるさ。となりにいて、物凄くゾクゾクしてくる。この感覚は霊とか呪いの類いだ。」

「あらら、随分と直感が強いことでして。まあ良いわ、とりあえず次の対戦相手があなたの様だから挨拶に来たの。遥ちゃんでしょ?会場内では物凄い噂になっているわ。若くて可愛くて強いって。」

可愛いなんて言われると少し嬉しくなる遥ではあるが、ここは勝負の世界。クールに無表情を貫く。

「何をいう。お前の方こそ可愛いじゃないか。でもその格好は寒そうじゃないか?ええと、名前は・・・」

「私はジュリよ。もう30歳なのに可愛いなんて言われると困るわね〜。この服装は私の国では普通なの。」

この時、遥は「へっ?」と驚いた。

「30歳?てっきり20代後半かと思っていたぞ?その肌で、スタイルで30歳か・・・」

30歳なのにとんでもなく綺麗な肌で美人で色気たっぷりで可愛いなんて反則だ。

「ふふ、私が美肌の理由知りたい?」

遥はしばらく躊躇う。しかし、ジュリはベンチから立ち上がり去ろうとする。

「次の勝負で私に勝てたら教えてあげるわ。フフフ・・・」

「あっ、・・・行ってしまったか」

気になる。美肌の秘訣が・・・