「くぅっ・・・!!これだけヒビが入ると使い物にならんっ・・・!」

おっさんは一旦間合いを取って、刀を変える。

「ならば、次はワシの愛刀である『翼朱雀』を使うとするかっ・・・!」

おっさんが取り出したのはさっきの刀とは明らかに違う綺麗な刀である。きちんとした刀鍛冶に作って貰った刀は斬れ味鋭く、そこらの普通の刀より威力があるらしい。

しかし、遥は良い刀というのにまるで興味ない。それは祖父の教えで良い刀ばかりを使うと、いざ戦場で刃こぼれとかすると斬れ味が悪くなり、いつもの実力が使えなくなるから。

それなら、いつも品質の悪い刀を使って慣れておけば、いざ戦場でその様なアクシデントがあってもいつも通り戦えるからである。

「『翼朱雀』か。良い名前の刀では無いか。だが、その刀で私が倒されるとでも・・・?」

「ふっ・・・刀一つ違えば使い方も気合いの入り方も違うもんよっ・・・!」

だが、そんなおっさんの実力が分かってしまった遥は鼻で笑う。

「おっさんは確かに強いが、私には到底及ばない。剣の速さも身体能力も思いの強さも経験も私にはまるで及ばないからだ。だが、とても楽しかったぞ。」

これにはおっさんも自身のプライドを刺激された見たいで、上から目線な遥に義経流の最大の奥義を使う。

「小娘ェ、見よっ!これが義経流奥義八艘飛びっ!!」

そう言っておっさんは飛ぶと、その姿が消えた。

だが、次の瞬間に遥の背後から気配が感じた。

ガシャーンと二人の刃が交差する。しかし、遥はおっさんの攻撃の軌道を刃で多少ズラすことが出来て何とか無傷である。

「くっ・・・これが義経流の奥義と言われる八艘飛びか。お祖父ちゃんが昔話で言っていた通りの攻撃だ・・・。」

まるで瞬間移動でもしたかの如く、突如として背後に回り込んで攻撃する戦いかたは人並みの身体能力では無理である。

つまり、このおっさんの身体能力は普通では無い。

しかし、このおっさんとも互角に戦えている遥も普通の身体能力では無い。

さあ、どうする?