そして一時間後、今度は2回戦の相手と戦うためと再び言われた通りのゲートに入っていく。

またここに来たか。何万という観客がみているというのは多少気になるが、戦闘に入ればいつの間にか忘れているという感じだ。

さて、気になる対戦相手だが・・・どうも40そこそこのおじさんのようだ。体格はいたって普通だが刀を持っており、どうもさっきの魔法使いとは違うオーラ・・・本当に強い者にしか出すことが出来ないオーラを出している。

「おっさん、私と同じ武器なのだな。この大陸ではとても珍しい。」

「ふふ、私は旅の武芸者。若い頃に遠く離れた島国の剣豪に刀の奥義を伝授して貰ってね。恐らく君も島国の出身なのだろう。ひょっとしたらその人の事を知っているかもね。」

そしておっさんは短い脇差しから刀を抜く。これを見て遥は普通の刀使いでは無く、異形の剣術だと感じた。

「もしかして、それは義経流かっ・・・?短い刀を持ち、相手の懐に入って斬るという機敏性に特化した義経とかいう乱世の英雄の流派っ・・・」

おっさんはククッと笑う。

「そうだ。その義経さんの技だ。そして私は義経流を会得して以降、沢山の戦争に出たが全ての戦で必ず戦果を出してきた。小娘・・・貴様の剣術などどうって事ないわ。」

このおっさんの言葉は間違いなく事実だろう。このおっさんだけオーラが違うのだ。普通の人のオーラと別格に違うのだ。

これは私が実家に暮らしていた時、お祖父ちゃんと真剣勝負をした時に感じたオーラだ。お祖父ちゃんもかなりの腕前の剣士だった。この私がただの一度も勝てない程の強さを誇っていた。

このおっさんは年齢も考慮すると私のお祖父ちゃんより強いかも知れない。

だが、負けられない。私はこの様な強者に出会い倒して行くのを望んで旅に出たのだから。