時刻はもうすぐ12時。遂に王女の用心棒を賭けた試験が始まる。

この闘技場はとても広いから1回戦を1度に8試合消化することが出来る。

さて、電光盤に私の番号が表示される。私の試験番号は7だ。番号が表示された場所に向かえば良い。

さて、私の相手は誰だろう。思えば私は魔法使いという類いの敵と戦った事がない。この大陸では稀に魔法を使う人がいるらしい。私の国では忍術を使う者は居たが、かなり厄介な相手だった。恐らく魔法使いは忍術を遥かに凌駕すると見た。

「さて、私の相手はこのゲートの向こうだな。何やらやたらと五月蝿い様な気がするが。」

遥がある先には対戦相手と周りには沢山いる観客達であった。

「な、なんだこれはっ?軽く1万人はいるんじゃないかっ!?」

驚き戸惑っている遥に対戦相手の男は笑顔をちらつかせる。

「この用心棒を決める試験は5年に一回あるかないかの試験でさ、格闘技ファンとか色んな国の関係者とかが見に来るんだよ。特に多いのは格闘技マニアだね。辺境の国の武術はお目にかかるのが珍しいからね。」

「そうなのか。ところでお前は?」

男は優しい笑顔で遥に警戒心をなくそうとしている気がする。

「俺はクルーン。この国の特級魔法使いさ。悪いけどこの試験で上位四人になるためにボコボコにさせてもらうよ。」

「私は遥、東の島国出身だ。魔法使いと戦うのは初めてだが本気で相手してやる。」

遥の発する殺気がクルーンを一瞬ビクッとさせる。しかし、クルーンはまだ16歳そこそこの遥を完全に舐めていた。

闘技場の観客も王国でも数少ない特級魔法使いと島国の女の子剣士、普通に考えたら魔法使いが勝つと思う。

観客の中には遥が可哀想と感じるものが多かった。