長い・・・とても長い旅路であったが、ようやく北の大地『サミイ王国』についた。ダイト国との国境でかなり強固な守りの要塞都市「ギンザ」である。国境の都市であると共にサミイ国では２番目に大きい都市である。

首都である『ロデオ』はサミイ国の中心に有り、そこにはサミイ国の王女サトミがいる王のお膝元だ。

遥は町の旅人が集まる宿屋に行って、この国の情報収集をしているとサミイ国の王女の話題になった。

「そんでさ、この国の王女は弱冠14歳でサミイ国を支配しているって話だ。父の先代王が去年のユニバ帝国との戦いでユニバの六大将軍のグラシアルとの戦いで受けた傷が原因で死んで兄弟がいない為、一人娘のサトミ王女が無事に王位に付いたってわけさ。」

この詳しそうに話す男はこの宿屋に入っていきなり話しかけてきた男である。なかなか話上手でつい話が弾んでしまった。名はウイチという眼鏡と帽子をかぶっている自称ガンマンらしい。

「ほう・・・でも王位継承の際に反乱はなかったのだろ？なら、この国は平和な方なのだろうな。」

「それが、そうでも無いらしいんだよ。どうもサトミ王女の叔父さんが王位を奪い取る為にユニバ帝国のモイネロ将軍と手を結んだとの話なんだ。」

「ふーん？でもそれって噂だろ？その噂その物がユニバ帝国の策かも知れないぞ？」

「う・・・まあね。でも、もしもの為にサトミ王女を守る為の用心棒を少人数だけど募集しているって話だ。」

これを聞いて強いものと戦いたい遥は少し考えた。

「用心棒って強い者と戦えるのか？私は強者と戦うためと旨いものを喰う為に旅をしているから、そこは重要なんだが。」

「おや？遥ちゃんは武芸しているの？」

「ああ、この刀、弓、鉄砲、これらを使い世界でも私の腕が通用するのか知りたい。そして、世界一になりたい。」

これを聞いて一瞬ウイチは鼻で笑った。しかし、遥は全く気づいていない。

「そうか、なら用心棒の試験が明日この町であるみたいだけど受けて見る？」

「本当か？勿論受けるぞ。教えてくれて有り難う！お礼に今夜は奢るよ。」

この時のウイチは女である遥が試験に来てくれたら自分の踏み台となってくれると思っていた。