温泉から上がるとき、湯から出た瞬間に強い風のせいで凄く寒く感じた。これが誰も来ないようなところにある温泉のデメリットで、温泉旅館みたいに仕切りが無いから風をもろに受けてしまう。そして、男女混浴みたいな感じなので男に裸を見られる恐れがある。そして・・・仕切りが無いということは更衣室も無いということである。

「ムムッ・・・更衣室が無いから着替えの最中にモンスターや賊に襲われたら場合どうすれば良いのだ?でも、この辺には敵の気配もないから良いか?」

あまり男性に裸を見られることに抵抗がない遥。というのも、そもそも遥の貧相な身体を好き好んで見る人がいないのである。

遥は昔から男に見られる=魅力的というイメージを持っている為、むしろ自分をもっと見てもらいたいと密かに思っている。でも、人には言えないことでもある。

タオルで身体を拭くと着物に着替えて、小屋に戻ることにする。

小屋に戻ったら、少しだけ味噌汁を飲んで寝ようと思っている。そう、ニンジンや大根、その他野菜をたっぷりいれた栄養満点の遥特製お味噌汁を作って寝ようと思っているのだ。

何故、お風呂上がりにわざわざお味噌汁を作らねばならないのか?作るのが面倒では無いのか?

確かに面倒である。グルメな遥でも流石にそれは面倒であるが、それ以上に寒いのだ。温泉から出たばかりの今では湯冷めして風邪をひくかも知れない。早く布団に転んで寝なきゃいけない。でも、ここで普通に寝たら間違いなく明日には風邪をひいているだろう。それだけ、ここは寒いし風邪も強いのだ。

なので、遥は寝る前に身体を暖める為にもお味噌汁を飲んでから寝ることにする。

「しかし、ホントにこの辺は寒いな」とブツブツ文句を言いながら寒さに震えて小屋に戻る。