遥はクレアの手を引っ張りながら帰る道中に現れる敵を薙ぎ倒す。不思議なことに来たときより嫌な感じがする。この場に留まっていたら気持ち悪くなって倒れてしまいそうな感じがする。

それに帰る時の方が敵が多い気がする。霊体の敵が多くて困る。

「ちょっ、敵が多すぎるんですけど大丈夫ですか?私も霊体相手なら戦えますよ?」

「戦わなくて良いっ!この程度の敵、私一人で何とかなる。それより私が危惧しているのはこの気持ちの悪い感覚だ。」

「あ、確かに気持ち悪い感じしますね。誰かの怨念とか霊的なものを感じますね。」

のほほんとした顔のクレア。しかし、遥はクレアがその原因と察した。

「恐らく、この霊体はこの王墓を建設するときに亡くなった奴隷の怨念だ。そして、この国の王族を酷く恨んでいる。そんな、王族が今この場にいるんだから霊は活発になり、お前を狙っているのだ。」

「な、何であなたがそこまで分かるのですか!?王族が民から恨まれるはずが有りません!それともあなたは霊の声が聞こえるのですか!?」

遥にはさっきから怨念が何かを叫んでいるのが聞こえる。遥は神社の巫女であった、それ故に霊の声も聞こえるのだが、ここまで怨みの籠った霊は初めてだ。

「聞こえるさ。私は巫女でもあるからな。そして、さっきから霊は王族を許さないと叫んでいる。」

「そ、そんな・・・」

そこまで王族が嫌われていたことにショックを受けるクレア。

「そんな事より早くここから出るぞ。このままでは呪い殺されてしまうぞ!」