暑くて歩きにくい砂漠を無事横断して遥はようやくサボンの町に着いた。町に入るだけでさっきの町とは違って活気もあり、色んなお店があるのが分かる。

遥は取り敢えず、先に今晩泊まる宿を決めに行き、銭湯にも浸かりにいこうかと思った。しかし、次の瞬間に誰かの声が聞こえた。

(私を助けて・・・助けて・・・)

誰かの声・・・女性の声が聞こえたが、振り返っても助けを求めているっぽい人は見当たらなかった。

(おかしいな。確かに女性の声が聞こえたのだが・・・まあ、良いか。先に風呂に入りに行くとするか。)

遥が銭湯に向かって歩いていこうとすると再び、助けて・・・と声が聞こえた。流石にこれは気のせいではないと思った遥は声が聞こえる方向へ歩いていった。

声が聞こえる方へ歩いていくと、そこはこの町最大の遺跡である「太陽の神殿」があった。しかし今は昼間で、この太陽の神殿は他の遺跡とは扱いが違って観光客の立ち入りを禁止している。

遥は近くにいた遺跡の管理団体のスタッフに話を掛けてみた。

「ちょっとすまぬが、あの太陽の神殿とやらはなぜ観光客が入れないようになっているのだ?他国から初めて観光しに来たから少し疑問でな。」

「ああ、あの太陽の神殿は国の重要文化財でしてね。遺跡に傷を付けるマナーの悪い客が遺跡に入らないようにしたんですよ。」

遥は本当にそれだけなのだろうか・・・と少し疑問に感じた。それにあの神殿からは禍々しいオーラを感じて嫌な感じがする。遥は犯罪になるだろうけど、少しあの神殿を調査してみたいと感じた。

しかし、今この時間帯に神殿に侵入するのは観光客に見られてしまうので人気のなくなった夜にすることにした。それはまではお風呂に浸かって、腹ごしらえをしてからにしよう。