次の日、遥は旅立つ前に荷物のチェックをする。

「お金は持った、鉄砲も弾も脇差しも持っている。水分も大丈夫。食べ物も携帯用食料があるから何とかなる。そうだ・・・シノケンの奴にコレを渡しておこう。」

旅立つ前に遥はシノケンに渡しておきたいものがある。

それは遥への連絡先である。とはいえ、この世界では携帯はない。無いが、家では無く本人に直接手紙を届けるシステムがある。

冒険者ナンバーカードである。冒険する者なら誰もが持っている磁器の付いた機械である。これがあると、故郷からの届け物や手紙が直接届く。

それが、風呂場にだろうがトイレの中だろうが樹海の中に居ようと魔法で動くゴーレムが届けてくれるのだ。

この冒険者ナンバーをシノケンに教えれば手紙のやり取りが出来る。

「おい、シノケン。お前に渡したいものがある。」

「え?もしかしてプレゼントか何かかい?」

シノケンは少し期待して紙を手に取る。

「これは冒険者ナンバーかい?」

「ああ、寂しければ手紙を出してこい。もし悪党に襲われたら手紙が届けばすぐに駆け付けるからな。」