食事も終わり一息付いて、遥は言い出した。

「私は明日の昼にここを旅立つ。シノケン、短い間であったが有り難う。」

いきなりの別れの言葉にシノケンは驚いてしまう。

「ええっ!?明日の昼に!?いきなりすぎるよぅ!」

「すまんな。私は色んな国を旅して武芸を極めようと思っているんだ。砂漠でお前が私を助けてくれなかったら、武芸を極めることも出来なかったであろう。本当に助けてくれてありがとう。お前は私の命の恩人だ。」

深々と頭を下げる遥にシノケンは困惑する。

「そ、そんな頭を下げられても困る・・・!むしろ俺の方が助けてもらったよ。セブンスターのブラッグスも倒してくれたし、遥ちゃんのお陰で平和になったんだ。」

そうか、と遥は呟く。

「しかし、それは成り行きで倒したんだ。私はまだお前個人に恩を返せていない。そして、その恩なのだが、私が成人して初めて酒を呑むときはシノケンと二人で呑むと約束しよう。昨日、やたらとしつこく酒に誘ってきたからな。」

「え、良いのかい?俺と二人っきりで酒を呑んでくれるのかい?」

「うむ、もちろんお前さえ良ければだ。私も酒を呑むならシノケンと呑みたいのだ。だから、四年後を待っていてくれ。私は約束は守るし、シノケンの事も忘れない。だからシノケンも私の事を忘れないでくれ。」

「も、勿論だ!誰がこんな美少女を忘れるかよ。遥ちゃん!約束だ!四年後会ったら酒に付き合ってもらうからなっ!」

お互い忘れないように、覚えておこうではないか・・・。