結局、遥は町をうろうろして夕方にシノケンの家に戻ってきた。

家に入るとシノケンが料理していたところである。

「お、遥ちゃん良いところに帰ってきたね!ちょうど料理が出来上がるところだから。」

シノケンが持つフライパンからは肉の美味しい匂いがする。

「肉料理か。私は肉大好きだぞ。もちろん海鮮料理も和風も西洋料理もイケる口だ。」

実は遥は華奢な体格の割には結構食べる。武芸を極めんとする者は動くエネルギーが必要だから昔からよく食べるように育てられたとか。

「はい、お待たせェ〜。牛肉のステーキと鳥の唐揚げ、焼き鳥も焼けばあるぞぉ!」

「おぉ!!滅茶苦茶美味しそうではないか!おかわりはあるのか!?」

目を輝かせながら遥は食べる。

「おかわりはお米ならあるけど、おかずは無いよ?」

「米はあるのか。」

そう言って遥は手提げ袋から缶を取り出す。

「唐揚げにはこれを少しつけて食べると美味しい。」

遥があけると匂いがシノケンのところまで伝わってくる。

「この匂いは味噌?味噌はこの辺では珍しい高級品じゃん!」

「ただの味噌じゃないぞ?我が故郷でもとても美味しいと言われている味噌だ。コレを唐揚げにつけて食うと美味しいのだ。ほれ、シノケンも食ってみるがよい。」

遥は唐揚げに少し味噌をつけてシノケンの口に押し込む。

「熱い熱いっ!出来立ての唐揚げを口に押し込むなよ・・・。って何か旨いぞ?」

「そうだろう、そうだろう。付けすぎると塩分の取りすぎになるから、ほんの少しつけて食うとちょうど良い美味しさになるし、体にも良いのだ。」

シノケンは驚いていた。武術のみならず食に関しても凄い女の子だ・・・と。