ヴァーチャル・リアリティ

それはまるで『よかった』と言っているように聞こえて、違和感が生まれる。


陽大はあの絶叫を聞いても何も感じないのだろうか。


「とにかく、このメンバーで次の部屋に行くことができるな」


陽大は自分の言葉に補足するようにそう言った。


メンバーが減らなかったことは確かに嬉しいことだ。


でも……一度芽生えた違和感はそう簡単には消えてくれない。


『それでは、次の部屋に移動します』


相変わらず淡々としているアナウンスの声に、一瞬吐き気を感じた。


この声の主はゴーグル越しではなく、あたし達の姿を見ているのだろうか。