ヴァーチャル・リアリティ

それはすべての音をかき消してしまうような悲鳴で、しばらく続いた後パタリを声は聞こえなくなっていた。


唖然としてしまい、声を発することすらできずに棒立ちになる。


今すぐゴーグルを外して悠太郎のことを確認しに行きたい。


しかし、その気持ちとは裏腹にあたしの体は少しも動いてくれなかった。


「……悠太郎はどうしたんだ?」


晴道の震える声が聞こえて来る。


その声は今にも泣きだしてしまいそうに聞こえている。


「刻印を……押したよ」


梨花子が喉にはりつくような、苦し気な声で答えた。


刻印……。


「そっか。制限時間に間に合ったんだな」


気を取り直すように陽大が言う。