ヴァーチャル・リアリティ

悲鳴に近い声に、思わず自分のゴーグルへ手を伸ばす。


しかし、それはなんの天哲もなかった。


「おい梨花子、大丈夫か?」


刻印を押される側である悠太郎が心配している。


「制限時間が近づいて反応してるのかもしれないな」


そう言ったのは晴道だった。


「なにそれ、どういう意味?」


あたしは晴道に聞いた。


「タイムオーバーになると梨花子の方になにかが起こるとか、そういう警告って意味」


そう言われて自分の体から体温が奪われて行くのを感じた。


さっきまでの安堵感が一瞬にして恐怖に変わる。