ヴァーチャル・リアリティ

そう聞いて、あたしはまた安堵した。


やっぱり何かしらの逃げ道はあって、リタイアとなっても体に傷がつくわけじゃないようだ。


ゲームなのだから少し考えればわかることだった。


心配し過ぎていた自分がおかしく感じられて、口元が緩んだ。


「だから大丈夫だって」


「うん、わかった」


梨花子の声に戸惑いの色が消えている。


悠太郎本人から大丈夫だと言われて安心したようだ。


あたしからも、もう言う事はなにもなかった。


「あ、残り3分だ」


梨花子の声が焦りに変わる