ヴァーチャル・リアリティ

本のタイトル1つ1つに目を通して行くが、それらしいものはみつからない。


次第に焦りが生じてきて目に見える文字が頭に入って来なくなる。


これじゃなぞなぞはいつまで経っても解けない。


そう思った時だった。


地面がグラリと揺れた感覚がして、本棚から数冊の本が落下してきたのだ。


危うくぶつかりそうになり、咄嗟に身を避ける。


「今度は部屋の物が崩れてくるのか」


舌打ちと同時に悠太郎の声が聞こえて来た。


前回の部屋では壁が迫ってきていたから、同じような危険があるという設定なんだろう。


あたしは天井まである本棚を見上げた。


これが一気に崩れ落ちて来たらひとたまりもない。


早く答えを見つけ出さないと!