ヴァーチャル・リアリティ

眉を寄せて壁を凝視する。


すると、ゴゴゴッと低い唸り声を上げながら、徐々に徐々に壁が接近してきているのがわかった。


瞬間的に体中が寒くなるのを感じた。


「ちょっと、2人部屋目にしてはレベルが上がり過ぎじゃない!?」


あたしは思わず天井へ向けてそう言っていた。


しかし、それに関する返事はない。


「何の説明もなしに、これはないよな」


悠太郎の焦った声が聞こえて来る。


「いや、前の部屋でもあった」


そう言ったのは晴道だった。


「え?」


あたしは聞きかえす。