ヴァーチャル・リアリティ

だからこんなにも無数の鍵が用意されているのだ。


『制限時間は20分。それではみなさま、頑張ってください』


アナウンスはそこでプツリと途切れた。


あたしはまずテーブルの上にある鍵を見た。


銀色や金色、様々な形状の鍵が所狭しと置かれている。


テーブルの上だけで100本ほどありそうだ。


それだけじゃない。


壁の四面すべてに鍵がぶら下がっているのだ。


近づいてみると、上から下までズラリと釘が打ちつけられていて、その1つ1つに鍵がかけられているのがわかった。


「これはヤバイな……」


陽大がそう呟いた。


さすがに、さっきまでの勢いはなくしてしまっている様子だ。


あたしも同じだった。


これだけの鍵を1つ1つ鍵穴に差し込んで確認していくことはできない。


20分なんてあっという間に過ぎてしまうだろう。