ヴァーチャル・リアリティ

脱出部屋は5部屋あると言っていた。


難易度が上がって行った方が面白いに決まっている。


ドアの向こうに出た瞬間、草原が広がっていた。


心地よい風と、緑の香りがする。


『脱出おめでとうございます! 今回は全員無事に脱出できたようですね』


アナウンスの声も心なしか嬉しそうに弾んでいる。


『それでは、次のお部屋へご案内します』


アナウンスがそう言うと、画面は突如切り替わった。


見慣れない子供部屋が現れ、壁やテーブルに無数の鍵がぶら下がっていたり、置かれたりしている。


さっきのリビングに対して不気味が雰囲気があり、たじろいてしまう。


『今回のお部屋では鍵穴にピタリと合う鍵を探していただきます』


アナウンスの声に奥にあるドアへ視線を向けると、数字を打ち込むようなパネルはなく、普通に鍵穴が存在していた。