ヴァーチャル・リアリティ

ようやく見つけたのかもしれない。


「テレビの裏とか、探したほうがいいかもな」


陽大の嬉しそうな声が聞こえてくる。


あたしはさっそくテレビ裏を確認してみることにした。


といっても、テレビの奥は壁になっているから人間が入れるスペースはない。


裏側を確認するためにはテレビを反転させる必要があった。


テレビの枠に両手をかけて力を込める。


想像通りの重さが両手にかかる。


「結構重たいな」


悠太郎が険しい口調でそう言った。


「だよな。女子たち、大丈夫か?」


晴道の言葉にアユと梨花子が「無理~」と、早くも白旗を上げている。