ヴァーチャル・リアリティ

入っていたソフトが動き出し、画面が切り替わる。


「何してんの結愛」


梨花子の呆れた声が聞こえてきた。


「だって、VRの中にあるゲームが動くんだもん!」


興奮気味にそう言うと「テレビもつくぞ」と、陽大が返事をしてくれた。


冗談ではなく、ここで生活できてしまいそうだ。


起動したゲームをそのまま引き出しの中へ戻し、あたしはメモ用紙探しを再開した。


脱出が簡単で時間が余れば、その分ここで遊ぶこともできるのだ。


だから《ゲームセンター》なんだと、ようやく理解することができた。


引き出しの中を探していると、ゲームソフトの下敷きになっているメモ用紙を見つけた。


これにも《0》と書かれている。


これで《0》が3つも集まってしまった。


プレオープンだから暗証番号は簡単なものなのかもしれない。


探す必要なかったりして。


そんなことを思っていると「あ!」と、陽大の声がした。