ヴァーチャル・リアリティ

「あのさ、ソファは調べた?」


あたしは遠まわしにみんなへ向けてそう聞いた。


「ソファはまだ調べてないよ」


その返事はアユからだった。


「調べてもいいかもね」


「なるほど。サンキュ結愛」


今のは晴道の声だ。


「じゃあさ、例えばテーブルの裏とか」


そう言ったのは梨花子だった。


あたしはその言葉に従ってテーブルへと移動する。


白いテーブルの上にはピンク色の花が飾られていて、そのリアルさにため息が出た。


花の種類はわからないが、そっと顔を近づけてみると微かに甘い香りがした。


装着されているゴーグルから香りが出ているのだとしても、この絶妙な微かな香りを出せることに感動する。