ヴァーチャル・リアリティ

映像の中で自分の手がクッションに触れると、フカフカとした触感が伝わって来る。


あたしはクッションを両手で抱き抱えてみた。


心地よくて、下手したら眠ってしまいそうになる。


ここまでリアルに作れるなんてすごいな。


声には出さずに、改めて感心した。


感触までリアルに作ることができるなら、他のゲームだって沢山できるはずだ。


そう考えるとワクワクした。


それからソファの上のクッションや、ソファの裏側を確認してみたけれど、暗証番号らしきものは見つからなかった。


まぁ、そんな簡単に見つかっても面白くないし。


そう思った時だった。


白いソファの隙間に何かが挟まっているのが見えた。


メモ用紙のようで、色がソファと同化してしまっていたからなかなか気が付かなかったみたいだ。