ヴァーチャル・リアリティ

色や小物なども照らし合わせてゆくと、やっぱり同じ映像なのだと理解できた。


「俺はテーブル付近を調べるから、みんなは別の場所を調べてくれ」


陽大の声が聞こえて来たのであたしは頷いた。


それからあたしの姿は相手には見えていないということを思い出し「わかった」と、声に出して返事をする。


あまりにもリアルだし、声もすぐ近くで聞こえて来るからつい見えている物だと思ってしまう。


あたしは苦笑いを浮かべてソファに近づいた。


ソファが気になったのは上に乗っているクッションが原因だった。


リビングの中の大きな家具は主に白色で統一されている。


ソファも白色だったけれど、3つ並んだクッションは赤、オレンジ、黄色となかなかに派手な色で揃っていたのだ。


あたしは足踏みでソファの前まで移動し、手を伸ばしてみた。