ヴァーチャル・リアリティ

「吸い込んじゃダメ!」


そう叫ぶが、部屋の中は白い煙に包まれてゆく。


微かに吸い込んだだけで、足元がふらついた。


「これで晴道は自由になれる」


結愛という女が男へ向けてそう言った。


あたしは男を見る。


これが、晴道……?


気になったけれど、それを質問することはもうできなかった。


ロレツは回らず、言葉にならない。


百花があたしの後ろで倒れ込んだ。


それを目で確認する暇もなく、あたしも膝から崩れ落ちる。