ヴァーチャル・リアリティ

で、この部屋でなにをすればいいんだろう。


そう思っていた時、隣の部屋から2人の男女が出て来た。


2人とも派手に着飾っていて、ゴミをまたぐようにして玄関へと向かってる。


女性の方が1度こちらを振り向いた。


真っ赤な口紅がニタリと笑う。


「じゃあ、また4日ほど出かけるから、これ食べて待っててね」


女性はそう言うと黒いバッグから何かを取り出し、こちらへ投げてよこした。


そのままドアは閉められる。


投げられた物を確認してみると、それはシーチキンの缶詰だった。


4日間これ1つで過ごせということなんだろうか。


そう考えると胃がキリキリと痛んだ。


不意に、子供の頃の記憶が蘇って来る。