ヴァーチャル・リアリティ

不安はあるけれど、これはただのゲームなのだ。


クリアすればいいだけのこと。


そんなに難しいことじゃない。


と、自分自身に言い聞かせる。


それにしても汚い部屋だ。


狭いアパ―トのようだけど、床やテーブルには食べ物のゴミが散乱している。


洗濯もされていないようで玄関先には山積みになった衣類が置かれている。


「なんか臭い」


百花がそう言う。


キッチンや脱衣所から異臭がしてきているようだ。


「リアルすぎて気持ち悪いね」


あたしはそう呟いた。